☆ 野市の1日 ☆



7月6日土曜日、高知県香美郡野市町、野市ふれあいセンター(サンホール)で、堀内佳コンサートが開催された。

野市町は、高知市から車で東へ30分余りの町。

ハウス園芸なども盛んで、かつては農業中心の町だったけど、この7月1日に開通した『土佐黒潮鉄道ごめんなはり線』の主要駅の一つ『野市駅』などもあり、近年大きく変貌を遂げている。

野市ではもう10回近くコンサートをさせてもらったけど、その度ごとに地元の人達と大宴会で大酒を飲んで、まさに『大盛り上がり祭り』状態になる( ・o・)

そしてその度ごとに、野市の人達との繋がりは深まり、今では僕にとって、ほんとに大切な仲間達☆★☆

いろんな世代のいろんな立場の人達が、理屈も利害も何にも抜きで僕を応援してくれる!!

『野市あそびすとクラブ』というボランティア組織のメンバーを中心に、男性(おっさんともいう)が大多数を占めてるというのも、なんか嬉しい♪♪☆

そんな大好きな人達が企画してくれた、大好きな野市でのコンサート♪♪

脇町同様、当然気合いが入る。

「おい!佳よ!! すまん (__)
いろんな行事が重なったりして、チケットの売れ行きが良うないぞ〜(・-・)」

コンサートの二日前、メンバーによると、この時点で把握できてたチケットの販売数は200以下(゜;)

サンホールのキャパは500!!

自分の力不足を痛感する(; ;)

でも例え観客が一人でも、全力で歌うことに代わりはない。

いや、むしろ来なかった人が後悔するくらいの、最高の歌を歌おう!!♪♪

僕は必死に自分を奮い立たせようとした。

ところが、いつもコンサートで音響のオペレーターをやってくれてる髭じいが照明のオペレーターをしないといけなくなり、僕が担当する番組のディレクターのテルが当日の音響を担当することになった。

テルとは、人間同士として、またディレクターとしゃべり手としての信頼関係は十分にできてる。

それに、僕のステージでの音響の経験もあるし、技術的にも全く問題は無い♪♪

全面的にテルを信じてがんばろうと決めた。

台風5号の遠い影響で朝から降っていた雨は昼頃から横殴りの本降りになり、東向きに走る車のフロントガラスと右側の窓だけを激しくたたく。

そういえば、先週の脇町も雨だった。

でもこの日の雨は、あんな優しい雨じゃない。

「観客はどれくらい入ってくれるだろう」「ステージ構成と時間配分は上手くいくだろうか?」そして・・・・・

いったんはともに心中しようと決めたテルに対する不安(・-・)

僕にとっての音響は、サーカスで綱渡りをする人にとっての「綱」のようなもの!!

いくら有名ブランドのロープでも、いくら使ったことのあるロープでも、やはり絶対的に信頼して使い続けている綱に比べれば「ゆるまないだろうか」とか「切れないだろうか」とか多少なりとも不安になるもの(・-・)

しかも何回も観てもらってる野市の人達だから、いつもとは違う難度の高い技もいっぱい取り入れて少しでも楽しんでもらおうと思えば思うほど、綱に対する不安は増してくる。

荒れ模様の天候のせいだろうか、激しい渋滞の中、1時間半近く掛かって野市に到着。

会場に入ると、競演する予定の『野市ジュニアオーケストラ』のメンバーがステージ上でリハーサルをしていた。

このオーケストラは、野市町近隣の子供達を中心に組織されたグループで、以前にも一度競演したことがある。

技術的なことはともかく、ひたむきに楽器を奏でる彼らは最高にかわいく愛おしい♪♪

「お〜い! 佳!! 遅かったやないか〜!!」
「うん! ひっどい渋滞でねぇ!!」

まだこのときは、野市のメンバーとの、いつものこんな会話が嬉しかった。

そしていよいよ僕のリハーサル。

音響だけでなく、いつもはステージ構成にも少なからず関わってくれている髭じいは、ほとんど会話もできない遠い調光室。

微妙な音のこと・僕の声の調子・選曲のこと・・・・・ 調光に忙しい髭じいに相談することはできない。

しかも客席には、何やら沢山のギャラリーがいる様子!!

みっともない失敗が怖くて、思い切ったリハができない。

僕の中でイライラが募る。

それでもなんとか形だけのリハーサルを終えて楽屋へ。

本番30分前!!

陰アナ用の原稿を考え、口述筆記してもらいながら、頭の中の別ウィンドウで構成をねる!!

本番20分前!!

楽屋であり、スタッフ控え室であり、応接室でもあるこの部屋には沢山の人があわただしく出入りする!!

わざわざ徳島県脇町から来てくれた湯藤さんご夫妻、僕の最大の理解者の一人で友人のウッチャン親子、いつものように明るい冗談で場を和ませようとしてくれた野市のカー君……

そんな掛け替えのない仲間達の暖かい笑い声を「他に楽屋は無いの??」と大声でしらけさせてしまった僕……

なんて弱いんだろう! なんて心が貧しいんだろう!!

側にいてくれる最高の仲間達に、この場にいてくれるだけでありがたいはずの大切な人達に「ここは本番前の楽屋だぞ! うるさいから出て行け!!」って、突然アーティストづらしてうったえてる!!

だってこの人達との繋がりは「アーティスト堀内佳とそのファン達」なんかじゃなくて、人と人との暖かい輪、もっと言えば、大切なソールメイト達なんだ。

そもそも「アーティストとそのファン達」なんて、アーティスト側が、自分達に都合のいいように作っただけの関係であって、たとえお互いがどんな立場であろうと全ての基本は「人と人との繋がり」のはず!!

恥ずかしさ・自己嫌悪・みんなに申し訳ないという思い……

左手に持った缶入りのお茶に、全ての気持ちを溶かそうとしていた。

舞台袖に入る。

さっきとはまるで異空間!!

1ベルが鳴る。

客席の喧噪・スタッフの緊張した声・ちょっと遠慮しつつも、忙しく動き回る足音達・・・・・

本番直前のステージ独特の空気♪♪☆

体になじんだこの空気が、静かに僕を癒す。

もう十分に静かだ。

本ベルが鳴る。

誰かの手が僕の肩に。

大して乱れてもない服の襟を直しながら、
「大丈夫やきね!! テルを信じて、いつもどおりでがんばりよ!! どうしてもダメやったら、私が髭じいに言うき。」

お由美丼独特の優しさと安心感!!

もう十分に穏やかだ。

1部が始まる。

やはり音のことも気になったりして歌いなれた曲の歌詞が飛びまくる!!

それでも客席からの拍手は暖かく笑い声は思いのほか多い。

1部が終わる。

スタッフの嬉しそうな声がする!!

「200人も無理かと心配しよったけんど、こりゃぁ300以上はおるぞ!!」

もう十分に嬉しかった♪♪☆☆

第2部が始まった。

まずは、ジュニアオーケストラ単独で『カノン』を演奏♪♪☆

舞台袖で不安げに聞いていた野市のスタッフ達!!

曲が進むにつれて、ひそひそ声がだんだん大きくなる!!

「リハーサルよりずっとえいやんか!!) (この子らぁ本番に強いねぇ!!」

僕も心の中で大きな拍手を送りながらステージへ♪♪

ジュニアオーケストラと競演する堀内佳

(写真は *(ジュンコーヒー)の中島準さん が撮影してくれました ☆ ありがとう♪♪☆)

野市町を流れる物部川を歌った僕の自作曲『step up 物部川』を、ストリングスの音に包まれて気持ちよく歌う♪♪

「みんなありがとう♪♪☆☆」

心からの感謝の言葉だった。

後半はまるで別物だった。

余分な力が抜け、声が思い通りに動いてくれる♪♪

特に最後の3曲!!

音が違ったように思えた。

なんと髭じいが、音響卓の前に座ってくれていた!!

コンサートは終わった。

ロビーで、来てくれたみなさんをお送りしながら、一人一人と握手をする♪♪☆

そこには、まるで何事もなかったように、いつもどおりの幸せ者の僕がいた(^_^)V

野市の皆さん、本当にありがとう。

徳島県からわざわざ来てくれた湯藤さんご夫妻、大好きなラグビーの試合も観ずに来てくれたウッチャン親子、忙しいのにわざわざ来て写真を撮ってくれた中島準さん、そして、こんな僕をいつも応援してくれる全ての皆さん、ほんとに、本当にありがとう。

そして、プレッシャーもあっただろうに、一所懸命がんばってくれたテル、ほんとにありがとう。

そしてボロボロだった僕を見かねてフェーダーを握ってくれた髭じい、ほんとにありがとう。

そしてお由美丼、今回は特に精神的に僕を支えてくれました。

大きな体を??(やば!)揺すりながら、あちこち走り回ってくれた姿を誰かが「忍者みたいだった」って評してたよ♪♪☆

ってなわけで、あの日の心の動きを、思いっきり素直に書いてみたけど、なんともセンチメンタルな『思い』になっちゃったね(^^ゞ

でもこれこそがプライベートサイトの良いところでもあるよね(^_^)V

ここまで付き合ってくれた皆さん、ほんとお疲れさまでした(__)

台風6号も去って、今日も暑くなるぞ(..;)


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